性別XなのでLGBT団体とやらからは避けていたい

障らぬ神になんとやら。

わたしは個人のアイデンティティとして自身の「性別なし」には大いに自覚があるし、それによるあれこれもあるのだけど。

迫害や差別、理解を訴える団体を唯一帰属できる場所と思っているかというと、そうではない。というよりも意図的に避けているところがあるので、それもいかんなあと思うくらい。

 

誰を愛すとも普通であり声を上げるような必要もない世の中がくればいいと思うのは確か。声をあげた所、自分もそう見られているのではないかという猜疑心から嫌悪感が生まれる世の中であることも確か。BとTをきちんと語れる人が少ないだろう国に生きているのも確か。だから、マイノリティを認知させるための前線に立つひとたちがまだまだいること。実際にそうであるのにマツコ・デラックスさんのようにキャラクターとして認識されている人たちがいること。受け入れろという姿勢により受け入れないがわの権利と戦う状態も勃発していること。そのくらいは一応知っている。

 

なにごともまずは認知されるところから。ちょっと前にグランブルファンタジーというゲームに出てきたベリアルに「ソドミー」という台詞があってびっくりした。もちろん悪魔が言うのだからそれそのものには問題ない。けど、認知されていないものをぶっこんできたなあと思った。案の定BL的に盛り上がりかけたのをちょろっと見たんだけど。ソドミー法自体はまだまだ暗いものを抱えている。ちょっと前にチューリングのことをあれこれ書いたけれど結局彼だってソドミーの根深い慣習によって名誉毀損をされ続けてきたわけだ。

 

なんというか、レズやゲイを嫌いである権利の主張を見たときに、個人を超えて根が深い話なんだよなと思ったことがある。そうやって国家は人を裁いてきたし、生殖としても意味はない。(なんて言ったら子どものいない夫婦はどうこうってくるけど今はそこを論点にはしてないので)

生まれてきた世界がずっと「何でもアリ」だったら特に「嫌いである権利の主張」なんてなかったんだろうけどそうはいかない。特に同性愛によって実刑があるわけでもない日本でみかけたこの権利の主張だ。真意のほどは定かではないけど、結局「何が嫌いなのか」を語られなければ観点が多すぎる問題になる。

・自分がそういう風に同性にみられている可能性が嫌だとか

・BLやGLで萌えっている人種が嫌だとか

・実際の性行為を想像して嫌だったとか

とりあえず挙げられる理由を三つだけ挙げてみたけどまだまだありそうだ。でも、歴史的な否定はあんまりないように思える。だけに厄介だな。

 

さて、そんな根深いところに「自由に人を愛し生きていける権利」で突っ込んでいく団体はなんというか、厄介だなあと思う。万能な言葉はだいたい闘争の元だ。「自由」とか「正義」とか「平等」とか。万能すぎて個人に走れるものは、全体図を見れば及第点だと思えるところまできても批判があがる。もちろん無駄なことだとは思っていないけれど、その訴えとは別にどうにもこの団体に所属できないという気持ちがある。

 

どうにもどれにも所属していないという気持ちがあるからだ。前回お話した通り、わたしは性別がないため、ぶっちゃけて言えば「同性愛」でも「異性愛」でもない。

ない、というよりもならない。なんならバイセクシャルにも帰属しない。残されたTの中はさぞかしぐっちゃぐちゃだろう。ぐちゃぐちゃの中でまた集団を作ると、大きいところで終わった時にできる新集団になってしまう可能性がある。

 

どうにも、それが面倒だなあと思ってしまう。「ないもの」をあるようにしなければならないのは矛盾しているし喝破できる確率も低い。

スタンスとしてギリギリ理解できる表面的なものは「男女どっちでもいい」というやつだが(自分も、仮に恋愛というパートナーを考えるにしても)実際にはその逆だ。どちらでもない、なのだ。

性別X。なんと厄介なものなんだ。いや、わたしも気持ちがか。

 

そういうわけで厳密に言えばLGBTの人たちの苦悩や悲しみを理解できるわけでもない。義憤に乗ってあれこれ言うのって、言えるけど、後で後悔することが多いからやりたくない。

もはや「考える故に我あり」程度しかわからないレベルだ。そうなると人は考えるのを放棄しそうになる。同性・異性、その輪に入れないということを忘れたふりをして生きていくという方法。

 

残念ながら、その忘れたままができずにやるせなさにしがみついて小説なんて書いているわけだけど。

 

性別がないとはいえトランスジェンダーにくくられるし、入口はLGBTになる。きっとほとんどの人がそうなのだと思う。たまにあるけれど、入口がなかなか厄介でその入口ごとちょっと苦手意識を持ってしまうやつ。現状そういった感じだ。なにせ入口はそこにしかないけど、出口はそこにはない。

 

症例だけ載っているというのが近い感覚だろうか。

LGBTらしいけど、その名前に苦手意識がある人って他にもいるんだろうか。いると思う。うん、無理に帰属しなくていいと思う。

ノンフィクションで戦うって大変だけど、なにも全員が声をそろえて同じ戦い方をしなくてもいいんだ。